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相続・贈与税

事業承継の検討会の中間とりまとめ(案)

はじめに

経営者にとって、「事業承継」はさけては通れない非常に重要な課題です。
親族内事業承継について、中小企業庁の「中小企業の親族内承継に関する検討会」は、「中間とりまとめ(案)」を提示しました。
現行の事業承継税制の特例措置は、時限措置でありその期限が近づいています。

 

現行の事業承継税制

事業承継で株式譲渡をするにあたり株式評価が多大になりがちです。
相続税または贈与税の負担が大きくなると事業継続していくことが難しくなります。
現行では以下のような納税猶予があります。

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一般措置に比べ特例措置を活用する件数は大きく増加しています。
他方、要件の煩雑さ・将来の不確実性を憂慮する経営者層からは納税猶予期間が長期にわたる点に対する懸念もあることなどから、特例措置の適用期限が到来することを契機に、より使いやすい税制への改正が望まれています。

 

検討会の議論を踏まえた政策の方向性

今回、検討会の一般措置についてのとりまとめ案として以下のような点が論点として挙げられています。

① 猶予対象株式数

2/3を超えて後継者に集約させることが望ましい場合が多い。
適正な水準に引き上げる方向で検討をすべきではないか。

② 猶予割合(贈与と相続の差)について

贈与によって株式の承継がなされるよう促進することに制度上の主眼を置きつつ、相続の場合の猶予割合についても適切に検討することが重要ではないか。

③ 猶予措置の在り方

猶予期間が長すぎることから制度が使われにくい実態があり、評価減制度の可能性や10年間で免除となるような工夫ができないか検討してはどうか。
ただし、課税逃れ防止措置など適切な措置も検討する必要がある。

④ 雇用確保要件について

地域の人手不足の深刻化などを受けて変化していることも踏まえ、追加的な政策目的として、例えば従業員の賃上げなどの取組を評価する観点等も考慮のうえ、要件のあり方を検討すべき。

 

おわりに

これらの論点は、まだ案の段階ですが、税制改正へとつながっていけば、より使いやすい制度になると期待したいです。
一方、会計監査院からは、現状の株価評価は、低く評価され公平性が確保されているとは言えないと意見がでております。
今後の動きに注目したいです。