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労働基準法改正(施行日:2023年4月1日)

はじめに

近年、食料品をはじめとしたあらゆる商品の値上げが相次ぎ、わたしたち消費者の家計にも大きなダメージを与え続けています。
今後も数多くのモノやサービスが値上げされると予想されており、一度上がってしまったら値段が下がることに期待は持てません。
物価は高騰し続け、給料を上げる期待も高まっていますが、経営上すぐには上げられないのが現状です。

そんな中、2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、中小企業に設けられていた割増賃金率の引き上げ猶予期間が終了し、中小企業で働く労働者の中で特に残業時間が多い方には、給料を今より増やさなければならない可能性がでてきました。

労働基準法改正のポイント

2023年3月31日まで

月60時間超の残業割増賃金率が大企業は50%、中小企業は25%

2023年4月1日から

大企業・中小企業ともに50%

中小企業に該当するかどうかは、資本金の額や常時使用する労働者数で判断されることになります。
どちらにせよ月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算された割増賃金を支払わなければなりません。

深夜労働と休日労働との関係

深夜残業

月60時間を超える時間外労働を夜の22時から早朝の5時までの時間帯に行った労働に対して、会社は深夜割増賃金率25%と時間外割増賃金率50%を足した75%の割増賃金を支払う必要があります。

休日労働

休日労働との関係では、法定休日に行った労働時間は算定に含まれませんが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。
(法定休日労働の割増賃金率は35%です。)
また、割増賃金率の引き上げ分の支払に変えて代替休暇を与えることも可能です。

さいごに

上記の改正は正社員以外の雇用形態で働く従業員にも適用されます。
「みなし残業制度」や「歩合給制」を導入している場合にも割増賃金は発生します。
働く側にとってはありがたい改正かもしれませんが、会社側は就業規則の変更や給与計算システムの更新、さらには割増賃率引上げに向けて、月の時間外労働時間が60時間を超えないような対策を講じる必要があります。

法改正を機に、業務内容の見直しや無駄の削減など効率化を図るとともに、働き方改革を前進させよりよい労使関係を構築していきたいものです。